自分と他者との境界性

他人が自分とは違う人間であることは当たり前のことだ.

しかしそのことを意識せず,自己と他者との境界性が曖昧な人がいることも事実である.

例えば,うつ病で長期間外出が難しかった人が「引きこもっていた間は無駄だった」とか「病気から得たものは何もない」と本人が感じているとする.

しかし他者が「でもその経験があったから今のあなたがあるんですよね」と言ってくる人がいる.

それはやさしさなのではなく,単にその人の理想の押し付けではないかと私は考える.

自身がそうであってほしい姿を他者に強要しているのと変わらないのではないか.

私は優しい人とはそういったとき,ただうなずいてくれてそっと背中を押してくれるような人を指すのだと思う.

自己と他者との境界性がしっかりしていると言えるだろう.